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神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2019

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神楽坂コラム

#1 赤城神社 風山栄雄宮司に聞く

神楽坂コラム

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牛込総鎮守様として、約700年の歴史を持つ赤城神社は、神楽坂下の毘沙門天善國寺と並んで、「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」の2大メイン会場となっています。第3回目からは、「赤城神社 夕暮れライブ」の会場として思い出深い数々の名シーンを参加者に残してくれました。そこで会場の使用に関して理解と協力をしてくださった宮司の風山栄雄さんにお話をうかがいました。

毎年、風山宮司のご厚意で、神楽殿などをライブの会場としてお貸しいただいてきたこと、心より感謝いたします。中でも神楽坂の最も高台にあり、夕景の美しい神楽殿周辺をお借りしての夕焼けライブは、私たちイベントのフィナーレ会場として、これ以上ふさわしい場所はないものと感じています。景色がイベントの大切な演出効果を出してくれています。

神社がこの高台の場所に建てられたということ自体、昔からの展望が美しかったからでしょうね。今はビルが増えてだいぶ景色も変わりましたが、昔は早稲田方面がよく見えて収穫の秋には金色の穂波がどこまでも美しく、時にはキツネもあらわれたそうです。

ー会場が神社ということで、私たちはいろいろ使用に関して、気を付けているつもりですが、いたらない点も多かったと思いますが……。

場所が神社境内であり、観客の皆さんも、演奏家の方々も、神社の境内ということにもう少し配慮してもらえるといいのですが。たとえば見学に来られる人たちも、公園に遊びに行くのと変わらない感じでやって来られる。拝殿を拝もうという人は少ないですね。演じる人達の中にも拝殿におじぎをする人をあまり見かけない。これもちょっとさびしいですね。最近、テレビのロケ地や雑誌の撮影場所などに赤城神社を使用されることが多く、そのこと自体はありがたいのですが、それらのスタッフの皆さんは「番組のヒット祈願」とか「制作の無事完成祈願」などをされてから利用されています。神社は、本来、身を清めてから来られる場所です。伝統芸能をあつかうイベントなので、この点は配慮していただきたいですね。

ー宮司の指摘されることは、今後スタッフのみならず、出演者や来場者にも同じ思いでイベント開催ができるよう大いに生かしていきたいと思います。また、今年から、神社境内の利用方法が、風山宮司のご提案をきっかけでやり方が変わったとお聞きしていますが。

昨年までは、拝殿の脇に建つ神楽殿を演奏ステージにしていましたが、多くの演奏者が上にあがると窮屈に感じられました。また一般の参拝客はいつでも参拝ができるように、拝殿までの導線を確保しておかなければなりません。それがいままでのステージの作り方だと混雑時に参拝者の導線が確保しにくくなってしまいます。そこで思いついたのですが、階段の最上の二段分のおどり場を舞台にして、演奏者は大鳥居に向かって演奏する方が、観客も多く入れて、しかも演奏者は自由に広い階段上のスペースがを使えると思ったのです。今年も「赤城神社 夕暮れライブ」は、例年通り神楽殿をお貸しする予定ですが、それ以外の演奏はこの方式で会場設営をすることになったそうですね。

ーはい、取り入れさせていただきました。すばらしいご提案をありがとうございます。さらに今年は素敵なサプライズがあるとお聞きしていますが。

偶然なのですが、イベントのある日に結婚式が入っていまして。境内の階段下から新郎新婦、両家の人々が階段を上がってくるセレモニーがあります。“参進”というのですが、いつもですと、赤城神社の雅楽の奏者が、演奏しながら誘導するのですが、当日はイベントの出演者たちがそろって祝福を兼ねた「演奏のプレゼント」をしてくれることになったのです。新郎新婦も喜んでそれを受け入れているので成立したサプライズなんです。

ー今年は、公式プログラムに書いてない楽しみもあるということですね。ありがとうございます。

#2 講談師 神田織音さんに聞く

神楽坂コラム

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「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり2016」では中華料理店「縁香園」で神楽坂を舞台にした講談を演じて拍手喝采となった神田織音さん。大好評につき今年も登場していただきます。神楽坂とはなにかとご縁があり、大久保通りに面した「ココットカフェ」というオシャレなカフェでは、二ツ目の時から13回ほど講談を演じていますし、毘沙門天書院での公演もあり、なにかと神楽坂にご縁のある神田織音さんににお話をうかがいました。

ー今年で2年目の出演になるのですね。前回はどんな演目をされたのですか?

前回の演目は「百姓誉仇討(ひゃくしょうほまれのあだうち)」でした。江戸の天明年間に神楽坂でおきた仇討事件の実話を講談にしたものです。長年、神楽坂にお住まいで講談や落語のことを調べたり書いたりされている山口則彦さん作のネタを一席演じさせていただきました。

ーそこでも神楽坂とのご縁が深いのですね。

そうなんです。地元神楽坂を舞台にした本当にあった話なんです。起った当時は江戸中がこの仇討事件の話題で持ちっきりになったとの記録が残されているんですよ。

ー「縁香園」に集まった人たちを前に演じながら、どんな感じを持たれましたか?

いつもの寄席とはちがう中華料理店で、雰囲気はちがうのですが、まちの人たちの伝統に対する熱い思いのようなものをひしひしと感じました。

ーさて、今年の演目は? 決まっていましたら教えていただけますか?

まだ未定なんです。ただ会場は決まっていて、毘沙門天善國寺の境内に設けた辻講釈場なんです。実は私、辻で講談をやったことがなく、少し不安なんです。昔の辻講釈は、たしかに辻で立ってやっておりましたが、それはちゃんと聞けるイスの用意などもありました。毘沙門天の境内の講釈場とは少し事情が違うようで、私が写真で見せていただいた限りでは、お客さまは立ち見で、お祭りのブースのような感じでした。でも皆さん熱心に集中しておられるようでしたから、心配はないと思います。

ー開催日5月11日の土曜日で、神楽坂通りは歩行者天国ではないので、野外の大きな音が絶対に飛び込まないとは言えないですね。その時は困りますよね。

その時は、その時です。私はアドリブができない人間で、芸はカチッと決めてからでないとできないのです。ですから、おっしゃるような万が一のことがあった時は、私の困った時のあたふたしたさま、驚いて思わず素が出た表情を、皆さんに楽しんでもらうしかないですね。それもまたおもしろい経験になるかと思います。

ー思わぬ楽しみも加わった織音さんの講談、ますます熱いファンが増えそうですね。

#3 ちかけん 中村友哉さんに聞く

神楽坂コラム

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「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」では夕暮れになると、毘沙門天善國寺や赤城神社で美しい竹あかりが灯り、その優しい光に来街者の皆さまも足を止めて眺めています。そんな竹あかりで祭りを彩っている「ちかけん」の中村友哉さんにお話を伺いました。

ーご自身や所属する団体について教えてください。

僕たち「ちかけん」は竹を使った空間演出をやっている会社です。自分たちで作って演出する場合と、みんなに指導する場合の2種類でやっています。竹あかり自体は大分や熊本…九州が中心なので、なかなか東京で見る機会はないと思いますけど、実は全国に広めるためにいろいろな地域でやっています。

ーなぜ竹あかりを始めたのですか?

九州地方は竹が管理しきれず竹害というのがありまして…竹林が荒れ放題というところばかりなんですね。で、その間伐材を使って何かできないかというのが始まりでした。そこでアイディアを出し合い、竹を使った演出をやってみようと取り組んだんです。間伐材を竹あかりに使って炭にし、そして農業に活かすという循環型社会を目指す…という願いを込めて「ちかけん」がスタートしたのです。

ー神楽坂と関わることになったきっかけを教えてください。

僕たちは創業当時から、「いろいろな都市と関わろう、いろいろな人と会おう」ということを信条としていたのですが、その中で舞台演出の山口太郎さんと出会い、それがきっかけとなって神楽坂のまちと関わることになりました。

ーそこから2月から3月にかけて神楽坂通り商店会で行われる「神楽坂竹あかり?坂の街のイルミネーション」というイベントにもつながったんですね。

「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」が地域に根付き、そこでの素敵な出会いが、街の通り全体の演出や竹あかりワークショップという新しい広がりとなり、地域に貢献できているのをあらためて感じました。

ー竹あかりはその土地にしかない風景と物語を表現しているとのことですが、神楽坂ではどんな物語で創っていますか?

神楽坂はやはりいろいろな人が来ますし、外国人の方も多いので、複雑に入り組んだテーマや趣向よりは、竹あかりのスタンダードさというか、シンプルな良さが引き立つデザインを心がけています。 毎年、楽しみにして来てくだる方もいるので、いろいろな違いを出して、見る人が飽きずに楽しんでもらえるものを作りたいと思っています。

ーイベントに参加してみてどう思いましたか?

竹あかりを見た人に暖かいお言葉をたくさんかけてもらったことが印象的でした。「こんな素敵なものが日本にあったんだ、竹がこんな風に利用できるんだ」と。僕たちにとって竹は身近にあるため、こんな風に声をかけられることが少ないので、新鮮な感動がありました。ワークショップで初めて竹あかり作りを体験なされた方が、「次はどこで体験できるの?」とか、「また体験したい」とかお声をかけてくださって、楽しんでいただけて良かった、興味を持ってもらえて良かったと思いました。

ー最後にイベントについてお聞かせください。

竹あかりに関して言えば、飾れる場所がもっと増えればいいなと思います。例えば赤城神社ですが、今は少しだけ置かせていただいているので、もっとたくさんの竹あかりが置けるといいな、と。 イベント全体で言えば、まち舞台では外国人の方も多いので、もっと僕たちも海外の言葉を勉強して、しっかりと日本や神楽坂、そして竹あかりの良さを伝えたいと思っています。

#4 まち舞台コンシェルジュのみなさんに聞く

神楽坂コラム

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「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」は、毎年多くのボランティアの協力によって支えられています。その中で、神楽坂のまちを良く知り、かつ、このイベントで演じられる伝統芸能について積極的に学ぶボランティア有志によって構成された「まち舞台コンシェルジュ」たちが、当日に各スポットで、伝統芸能や神楽坂について詳しくていねいにご案内しています。今回お話を伺うのは、その「まち舞台コンシェルジュ」の増井さん、藤野さん、眞壁さん、水谷さん、杉浦さん、青木さん、山本さん、佐藤さん、宍戸さん。そんな地元の皆さんとつなぐ役割で、当イベント主催のNPO法人 粋なまちづくり倶楽部の日置圭子が、プロデューサー・小野木豊昭と共にお話を伺いました。

ー当イベントに関わることになったいきさつについて教えていただけますか?

増井 実は2013年の1回目は奈良の着物イベントに参加していて、「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」に参加したのは2回目からなんです。神楽坂に長く住んでいて、まちに思い入れがあり、盛り上げていきたいという気持ちがあります。それなのに神楽坂でこんな素晴らしいイベントが行われているとは知らずに、参加できなかったことを後悔したので、2回目は友達の結婚式の招待をキャンセルして参加しました。神楽坂の歴史、文化伝統の「受け手」そして「伝え手」としての役割を担いたいと、いつも思っていますので。

藤野 昔、神楽坂に住んでいて、結婚を機に離れましたが、今でもこのまちが大好きです。神楽坂が大好きで、日本舞踊をこのまちで習っていて、日本の伝統文化が大好きで、だから「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」のボランティアの話を聞いた時には、「やるしかない!」と思い、参加を決めました。他にも神楽坂のまちづくりに関わっていますが、中でもこのイベントには特に思い入れがあります。

眞壁 私は17年位前から神楽坂に住んでいます。神楽坂がすごく素敵だなと感じるのは、伝統文化が、路地、横丁などまちの隅々にまであることです。そんな私がボランティアや「まち舞台コンシェルジュ」に参加したのは、鈴木俊治さん(NPO法人粋なまちづくり倶楽部)や増井さんにお誘いいただいたのがきっかけでした。

水谷 私は3年位前から神楽坂に住んでいて、地元ともっとつながりが欲しいと思ってNPO粋なまちづくり倶楽部のボランティアに参加したんです。そうしたらちょうど同じ頃に引っ越して来られた佐藤さんや杉浦さんとお友達になれて、それから増井さんたちやずっと神楽坂に住まわれてる方とのご縁もできました。ボランティアからコンシェルジュになって、良い経験をさせていただき、素晴らしい出会いをくれた神楽坂にもっと貢献したいなと思っています。

杉浦 このイベントを私が知ったのは2回目の時でした。たまたま遊びに来たらイベントをやっていて、路上で一流の方々の生の演奏を無料で聞けることに感動し、私もなんらかの形で関わりたいなと思ったのが、ボランティアに参加したきっかけです。

青木 父が趣味で詩吟と民謡と尺八を、他にも身近に箏をやっている人がいて、もともと伝統芸能が身近にありました。これまでは観客として楽しんでいましたが、神楽坂界隈に住んでいるのでボランティアに関わりたいと考えていた時にお誘いをいただいて、去年からお手伝いをすることになりました。

宍戸 私は神楽坂の様々なイベントに関わってますが、このイベントは最初、観客として楽しんでいました。全長800mの神楽坂のいたるところで伝統芸能を観ることができる、一日中楽しめる素晴らしい取り組みだと感動し、翌年からはお客様に楽しんでもらう側に回りたいと思い、ボランティアに参加することに致しました。

ー「まち舞台コンシェルジュ」という試みに、実際に参加してどう感じられましたか?

眞壁 あらためて日本人として日本のことをあまり知らない、だから日本のことをちゃんと知りたいって思いました。「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」は伝統芸能を知るには、素晴らしいイベントなので、自分の勉強のためにも楽しくやらせていただいています。

小野木 ありがとうございます、そういう想いや背景を持っていらっしゃる方々がボランティアに参加なさっているからこそ伝統文化のすばらしさが伝わるのだと、つくづく思います。

水谷 勉強会では覚えることも多くて大変だと思ったんですけれど、常に経験をフィードバックしてより良くしていこうという、制作チームの皆さんの情熱に触れることができて、参加して本当に良かったと思っています。

山本 昨年に「まち舞台コンシェルジュ」としてお手伝いをさせていただいて、人との触れ合いをこれまで以上に感じました。例えば「まち舞台コンシェルジュ」だからとお声をかけてくださった方に、富山・城端出身の老夫妻がいらっしゃったんです。城端の方が「庵唄」の演奏をしていると聞いたので、観に来たとおっしゃっていて、そこで温かい交流が生まれました。そういう方たちとこの機会に関わりを持って、富山と神楽坂、そして他のまちの方ともつながりができて、互いに交流しながら発展しあって行けたらいいと考えています。

宍戸 私たちは演奏される伝統芸能や出演者の方々をご案内する他に、“舞台”となっている“神楽坂”をご紹介する役も担っています。この地で生まれ育っている自分だからこその、神楽坂の魅力や歴史、時には穴場スポットを一人でも多くの方に伝えられたらと思っています。

ーイベントに参加したときの印象的なエピソードをお聞かせください。

佐藤 3〜4年位前からボランティアに関わっていますが、初めて参加した時は、あまり神楽坂に詳しくなかったため、スタンプラリーでお客様に場所を聞かれた際に、うまく説明ができずにお叱りをいただいてしまったことがありました。その時は自分の不甲斐なさに落ち込んだんですけれど、まちのことをもっと知って、今度はお客様にイベントを快適に楽しんでいただこうと、気持ちを改めました。それから毎年ボランティアをやっているのは、神楽坂を知れば知るほど好きになり、そしてイベントでは素晴らしい出会いがあるからです。

水谷 昨年、お客様へのアンケートを担当した際に、想像よりも神楽坂外からのリピーターが多かったんですよ。前回は一人で来たけれどもとても良かったので、今回は友人を連れて来た……娘を連れて来た……っておっしゃられて。
またイベントの内容からか、ご年配から若い方まで着物を着る良い機会ととらえられている方もいて、私たちが考えている以上に、いろいろな世代や嗜好の方に人気があるのだと実感しました。

杉浦 このイベントを知らずにたまたま遊びに来られた方が、「伝統芸能が路上で見られるなんて! こんな素敵なイベントを、住んでいる方や神楽坂が好きな方たちが集まって協力して作っている…ここは良いまちですね」と感激なされていました。そのことをあらためて誇りに思い、その気持ちを大事にして「まち舞台コンシェルジュ」を続けていけたらと思いました。

宍戸 去年は特に中国語圏のお客様が多く、一緒にボランティアに参加した友人は中国語が堪能だったので大活躍していました。それを見て、海外からのお客様がいらっしゃっても楽しんでいただけるイベントだと、あらためて思いました。

ー「神楽坂まち舞台・大江戸めぐり」にどのようなことを期待なされていますか?

山本 実はコンシュルジュをきっかけに、もっと伝統芸能を知りたいと考えて、去年から小唄を習い始め、今日も三味線の練習をしました。音感が違うのと、唄と三味線を両方やるのでいろいろと難しいですが、お稽古はとても楽しいです。自分のように、このイベントが伝統芸能に親しむきっかけとなるといいなと思っております。

小野木 それこそこのイベントの目指すところですし、私たちがいちばん望んでいることでもありますし、嬉しいかぎりです。

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