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神楽坂コラム

#1 予期せぬできごと

坂と路地の入り組んだ神楽坂で、昨年のイベント中に偶然出会ったワンシーン。富山県からきた城端庵唄の十五名ほどの一団が、唄と演奏で小栗横丁を流していた時のこと。元力士が腕をふるうちゃんこ鍋店の前で一曲披露したところ、路上を取り囲んで聞き入っていたこの店の女将さんが、店に飛び込むと、ご祝儀袋を持ってき宝槌会の一団に献上。庵唄の一団も、このとっさの返礼に感激。神楽坂の横丁での粋な出会いに路上の人たちも、豊かな気持ちに包まれました。

#2 来年も来てくださいね!

城端庵唄の一団は、さまざまな場所でサプライズを演出。前夜祭には、小唄・長唄、落語の会場となっていた「ザ・ロイヤル・スコッツマン」にも登場。ガラス窓越しに見えた庵唄の一団が突然店内に。プログラムになかった演出に、観客は大喜び。一団は、風のように登場し風のように去って、次は「アグネスホテル東京」のロビーに出現。外国人宿泊客の多いこのホテルでも、庵唄の持つ独特の調べに集まった人々はじっと耳を傾けていました。宿泊客のためのサプライズであったにもかかわらず、ホテル側のスタッフも一緒に感激。「来年はぜひ演奏のルートに入れてください」とスタッフに頼まれ、今年はホテルでの演奏が正式に決定。大きな期待が集まっています。

#3 楽屋をのぞいてみたら

邦楽とひと言でいっても、実にいろいろなジャンルがあります。義太夫、常盤津、新内、長唄、小唄、端歌、地唄と多方面にわたっていて、楽器の種類も多種多様です。その上ジャンルが違うと、お互いの交流も極めて少なく、共通言語としての譜面もないのです。邦楽の世界は、言ってみればタテ割の社会です。それが神楽坂という小さなまちに集まって、普段交わることのなかったジャンルの人たちが、すっかり親しくなるシーンを昨年度も見かけました。「来年はぜひ一緒にやりましょう!」なんて会話が楽屋で頻繁に交わされていたのです。出演者にとってもたいへん実りある催しであったと感じられて、うれしくなりました。

#4 神楽坂の底力

大きなイベントを縁の下で支えてくれるのがボランティアの皆さん。昨年は総勢で70名を超える方たちが、とても高い対応力や接客力を発揮。さまざまなシーンで心のこもったおもてなしの精神が感じられました。作業内容は、会場整理、スタンプラリー、通訳の三つに分類。期せずして集まったメンバーの3分の2は、英語が話せたのです。必要な人数はあっという間に集まり、地元の企業や、団体の中には地域貢献の大切さに理解を示し、代休として認める措置までとってくれたところがありました。ボランティア同士、イベント終了時には別れがたく去りがたく、メールやフェイスブックでの連絡を約束しあっていました。

#5 野外演奏のむずかしさ

野外演奏のハードルといえば、使用する楽器上の制約があります。尺八や笛は乾燥をきらい、場合によってはタテにピーンとヒビが入ってしまうこともあります。逆に三味線は、湿気を嫌います。三味線奏者は、外での演奏自体がどきどきするといいます。実は昨年、皮が破れてしまったケースがあったのです。また、野外ではどんな音が突発的に演奏を遮ることがあるかもわかりません。そうした野外でのリスクがあるにも関わらず、一度参加されたアーティストの多くが、このまちの磁場に魅かれ、次もこのまちで演奏したいという言葉をのこしています。

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